山本 向三 院長(山本皮フ科クリニック)のインタビュー

山本皮フ科クリニック 山本 向三 院長

山本皮フ科クリニック 山本 向三 院長 KOZO YAMAMOTO

東海大学医学部を卒業後、皮膚科を専門に研鑽を積む。2007年、「たまプラーザ駅」そばに開業。

この道を志したきっかけや現在に至るまでの経緯をお聞かせください。

幼いころから医師への強い憧れをもっていましたが、医師になろうと決意したのは大学に進学してからのことです。最初は青山学院大学で経営の勉強をしていましたが、在学時に皮膚科を自宅で開業していた父が病に倒れました。物心がついた頃から、1階が医院で2階が住まいという環境でずっと暮らしてきましたので、診療時間外にひどいやけどや蕁麻疹の急患があったり、往診に出かける父の姿を垣間見ながら育ちました。それまで健康であった父が突然病気になり当時はとてもショックでした。父の健康のことや医院がこの先どうなってしまうのかという不安が押し寄せ、その気持ちが医学部再受験の原動力になりました。就職も内定していましたが、経緯を人事担当の方にお話し辞退させていただきました。それからもう一度受験勉強を始め、東海大学医学部に2年生から学士編入することになったのです。

東海大学に進んでからは勉強だけに打ち込むことができ、自分にとって人生の中で最も勉強した時期だとも言えます。このような環境を与えてもらったからには、勉強に励まなければならないという思いもありましたし、他の医学生よりも幾らか歳を重ねている分、また社会で活躍する旧友たちの姿を目の当たりにし、自分も早く医師として一人前にならなくてはという焦りのようなものもあったように思います。また東海大学では社会人経験者を広く受け入れているので、さまざまなキャリアを持つ、幅広い年齢のクラスメートと出会えたことが、自分にとっての財産になっています。

その後、父は残念ながら病の進行に打ち勝つことができませんでした。私が医師になるまで癌は待ってはくれなかったのです。結局医学部3年生のときに父は他界し、6つ年上の兄が医院を継承することになりました。結局、医院継承は叶いませんでしたが、当初から父と同じように「開業医として地域医療に貢献する」という将来に夢を馳せていましたので、一刻も早く一人前の皮膚科医になろうと研鑽を積みました。そして、2007年たまプラーザに「山本皮フ科クリニック」を開院しました。自分を一人前に育ててくれた東海大学には現在も非常勤講師として赴任し、後進の指導にあたっています。

『山本皮フ科クリニック 』の診療方針についてお聞かせください。

一人でも多くの患者さんに信頼していただけるようなクリニックを目指して行きたいですね。皮膚疾患はアトピー性皮膚炎に代表されるように長期の通院が必要となるものも少なくありません。慢性的な皮膚疾患では良くなったり、悪くなったりを繰り返します。治療のゴールが決して治癒とは限りません。だからこそ長く患者さんと寄り添い、付き合っていく覚悟と誠実さが必要だと思っています。治療は対症療法が基本ですが、患者さんの声に耳を傾け、日常生活や生活習慣の中に、悪化原因がないか一緒に考えていくように努めています。患者さんが前向きな気持ちで治療を続けられるような環境をこれからも維持していくつもりです。地域の開業医ですから、皮膚疾患の治療はもちろんのこと、皮膚に関するちょっとした悩みなどでも気軽に来院していただけるクリニックでありたいと思っています。

 

開業して15年になりますが、心境はいかかですか?

開業して15年、新生児からお年寄りまで、本当に幅広い年齢層の方にご来院いただいています。診察時、特にお子様の場合、我が子と接するような気持ちで接し、極力痛いことや怖がることを行わないようにしてきました。来院頂く方の中には、ご家族3世代で通ってくださる方もいらっしゃいます。

開業当初、年少だった娘は高校3年生に、小学2年生だった息子は大学4年生になりました。本当にあっという間の15年でした。幼い頃に小児特有の皮膚疾患などで通っていたお子様達も、いまでは高校生、大学生、社会人になり、久しぶりに受診すると本当に立派に成長していてびっくりします。幼い頃に皮膚が弱かった子がその後安定し、大学生になってピアスをあけに来ることもあり、とても感慨深いです。

最近ではご高齢になり、足の爪切りができなくなったり、巻き爪などフットケアのご相談を受けることもあります。今後はその方のライフステージを把握し、今できる治療の中からベストな方法を提案していきたいと思っています。

スキンケアについて日常生活におけるアドバイスをいただけますか。

日常のちょっとした生活習慣を変えてみることで皮膚の症状がよくなることがあります。たとえば日本人はの古くからの習慣として、お風呂でナイロンタオルを使ってごしごし擦って汚れを落とそうとすることがあります。汚れは確かに落ちますが、皮膚にとって必要な成分まで取り除いてしまいます。皮膚の表面は皮脂膜に覆われ、外からの刺激や異物の侵入を防ぐスキンバリアの役割を持っていますが、この皮脂膜まで一緒に洗い落としてしまいます。ですから、体を洗うときには洗浄能力の強すぎる界面活性剤を多く含むボディーソープではなく、昔ながらの固形の石鹸で、しかも手で洗ってもらうようにお話ししています。もちろん入浴後はしっかりと保湿剤でケアすることも大切です。とくに皮膚の弱いお子さんでは注意が必要です。
またアトピー性皮膚炎の最近の研究で、ある共通した遺伝子異常により、このスキンバリアのほころびが発症原因であることが分かってきました。皮膚のバリア機能が壊れると、さまざまなアレルゲンが皮膚の中に侵入しやすくなるのです。実は食物アレルギーも繰り返し壊れた皮膚から食物が吸収されることによって起こることがわかってきています。スキンバリアを改善させることは、アトピー性皮膚炎だけでなく花粉症や食物アレルギー、喘息などの他のアレルギーの発症予防にもつながるのです。

最後に地域の皆様へメッセージをお願いします。

昔から「皮膚は内臓の鏡」と言われるように、内科的疾患の部分症状が皮膚に現れることがあります。心配が杞憂に終わることがほとんどですが、なかには思わぬ重い疾患が隠れていることがあります。皮膚に異常を感じられたらどんな些細なことでもご相談ください。すべての疾患の最初の窓口となるのが我々開業医です。何か気になることがありましたらお気軽にお訪ねいただければと思います。

※上記記事は2021年12月に取材したものです。
情報時間の経過による変化などがございます事をご了承ください。

山本皮フ科クリニック 山本 向三 院長

山本皮フ科クリニック山本 向三 院長 KOZO YAMAMOTO

山本皮フ科クリニック 山本 向三 院長 KOZO YAMAMOTO

  • 出身地: 東京都
  • 趣味・特技: スキー(1級)、ランニング、ラグビー観戦
  • 好きな本・愛読書: 遠い太鼓(村上春樹)、生き方(稲盛和夫)、池井戸潤
  • 好きな映画: グラン・ブルー
  • 好きな音楽・アーティスト: オアシス
  • 好きな言葉・座右の銘: 「親切、真面目、丁寧」(父の口癖であったので)
  • 好きな場所・観光地: タオルミナ、ダブリン

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