
──そもそも、アレルギー性疾患とはなぜ起こるのでしょうか。
「アレルギーとは、⼀⾔で⾔えば、免疫です。花粉症を例にしまし
ょう。最近は低年齢化が進んでいますけども、⽣まれた時から花粉
症の⼈はいないですよね。花粉それ⾃体は、⼈の⾝体に悪さをしな
いものなんです。それが花粉と接しているうちに免疫がそれを異物
と捉え、抗体というものを作ります。その抗体が花粉を排除するよ
うに働き、免疫反応として起こるのがくしゃみや⿐づまりといった症状になります」
「従来のお薬は、免疫反応であるくしゃみや⿐づまりをブロックするためのものでした。⾔い⽅を
変えれば、これは治していたわけではないのです。それに対して、⾆下免疫療法は、アレルゲン物
質(杉、ダニ)を意図的に投与し、慣れさせていくものになります。これを免疫的寛容と⾔います
が、あえて与えることで⾝体を慣れさせ、免疫反応が出ないようにするものになります」
「⾆下免疫療法」のメリット
──対象となるアレルギーについて教えてください。
対象となるのは、杉とダニの2種類。初回の治療は指導をおこないながら、院内での投与と副反応
の確認が義務付けられており、問題がないことを確認してからご⾃宅で服⽤を続けていただくこと
になります。副反応の確認が義務付けられているため、同時にスタートはできないのですが、⼀定の期間をおいて問題が⾒られなければ、杉とダニの併⽤療法も可能です。治療の期間は3年から5年。通院は⽉に1度の割合で、ご⾃宅で1⽇1回服⽤することになります」
──期間を聞くと、「ちょっと⻑いかも……」と思ってしまうんですが。
「通年でアレルギーのある⽅は、お薬を処⽅してもらうために通院を続けることになりますから、
それに代わるものとしてお考えいただければいいかもしれません。また、この治療を続ける⽅が多いのは、1年⽬から効果を感じられるからなのです。次の花粉シーズンに向けて秋⼝から治療をスタートすれば、ほとんどの⽅は症状が出なくなるか、もしくは症状がごく軽いものになっていて、お薬がいらなくなります。『こんなに効くんだ』という実感を得られやすいのが、この治療のメリットと⾔えるでしょう」「また⾆下免疫療法は、製剤の形をしていますけども、お薬ではなく⾃然界にあるアレルゲンを投与するものです。副作⽤の⼼配がなく、根本的な治癒が期待できるため、妊娠中の⽅や授乳されている⽅、⼩さなお⼦さんも安⼼して治療に臨んでいただけます」