岡崎 公一郎 代表(ぴあはーと藤が丘)のインタビュー

ぴあはーと藤が丘 岡崎 公一郎 代表

ぴあはーと藤が丘 岡崎 公一郎 代表 KOUICHIRO OKAZAKI

この道を志したきっかけと、これまでの経緯をお聞かせください。

私はもともと鉄鋼マンでした。鉄屋さんとして30年間働いていたわけです。私が就職した時代は、定年まで勤めることが当たり前と思われていました。誰もがそう思い、そうなるだろうと考えていたんですが、40歳になった頃には段々と雲行きが怪しくなり、1人、また1人と先輩が次々と抜けていきました。「もはや1つの会社で終われる時代は過ぎた」というのが当時の感慨です。その現実を前にして、どうせなら何か面白いことをやってみたいと考えるようになりました。私は元来、ポジティブというか、後ろを決して振り向かないタチなんです(笑)。やりたかったことは様々ありましたが、いくつかの選択肢から残ったのが介護でした。ちょうどその頃、私の母が「そろそろ・・・」という年齢に差し掛かっていました。しかし、母にそれとなく聞いてみたところ、「そんな姨捨山(うばすてやま)みたいなところには入らん」と言われてしまいまして(苦笑)。確かに当時は老人ホームというと、街から離れて、何もすることもないというイメージがありました。それで、「ないなら、作れば良いんだろ」と考えたことが、全ての始まりになりました。
とはいえ、その頃の私は、介護ということについて何一つ知らないわけです。それなら一旦修行をしてからと考えて、ある福祉施設に社員として働き始めることにしました。ところが、入ったはいいものの、その会社というのが、なにからなにまで「ん?」ということが多かったんですね。でもその経験があったからこそ、今のホームがあるわけでして、その面では大変感謝をしています。なにしろ、その会社のやり方の反対をいけば、良くなるわけですから(笑)。
2000年に『ぴあはーと藤が丘』は誕生しました。残念ながら、私の母はその完成を見ることなく逝ってしまいましたが、母の希望を私なりに追求したホームが、多くの方に愛されていけばと考えています。

医療体制が充実していると伺いましたが?

「ぴあはーと藤が丘」は24時間の看護体制を敷いています。ナースが多数在籍し、施設長もナースです。ナースが管理のカナメにいることのメリットは生活の基本的な部分において判断を間違えないということでしょうね。医療面の充実というと、病気やケガになった場合の事後の対応体制のことと受けとられがちですが、病気にならないようにすることも肝要です。普段から入居者の健康管理に細かく気を配れれば、頻繁に病院に行かずとも気分良く過ごしていただけます。
そして、それでも病院に行くことになったら、ナースが必ず付き添います。
お医者さんの立場からすれば相手が理解できる範囲の話をされますから、ナースが同行することでより細かい指示を受けることが可能になり、治療も早いんです。
ナースの豊富な知識や経験が、事前事後の両面に役立っているわけですね。
ケガにならないようにということでいえばぴあはーと藤が丘には転倒を防止するための特別な装置がたくさんついています。どれも私が秋葉原などで部品を集めてきて作った装置ですが、夜勤など少ない人数での見守り時間帯には抜群の効果を発揮しています。
器械類だけでは決して人は守れません。それを職員たちが自分の体の一部のように違和感なく使いこなしていることもぴあはーと藤が丘の特徴ですね。

医療面以外の『ぴあはーと藤が丘』の特徴を教えてください。

もうひとつは年間300回を超えるイベントの充実にあると思います。どのレクも何らかの形で体を動かして頂くのですが、特に歌の効果は絶大ですね。酸素をたくさん取り込んで心肺など循環器系が蘇り声を出せばストレス解消にもなり、渇いた喉においしい飲み物の摂取で新陳代謝も促進、まさに一石二鳥。長生きの隠れた秘薬ですね。 
ぴあはーと藤が丘では100インチの大画面に歌詞を大写し、次々と1時間で平均約20曲以上も歌われます。皆さん、歌が大好きですから歌詞さえ良く見えればすぐ大きな声が出ます。必死で歌詞を追いますから目や気持ちの集中力で大いに刺激にもなります。普段「トイレ、トイレ」と訴えられる方も、この1時間は“歌、唄、うた”です。皆さんが真正面を向いてガンガン歌われる光景は圧巻で、ぴあはーと藤が丘の名物にもなっています。
年を召すとどうしても閉じこもりがちになります。毎日なにがしかのイベントがあることで、人と人との交流が自然と生まれ、それもまた健康でん長生きな人生につながっていくと考えています。

利用者さんと接する際、心掛けていることを教えてください。

年をとれば耳も遠くなってきますし、様々な要因がコミュニケーションを難しくしていきます。そこへ、例えば「こう言っておられますよ」と、利用者さんの間と間をとりもってあげる。サポートをして、人と人とをつないでいくというは常に意識していることですね。国の定めた基準では利用者さん3人に対し、1人のスタッフと定められています。3人の方がいらっしゃれば、最低限1人のスタッフが対応しなさいということですね。それに対し、『ぴあはーと藤が丘』では利用者さん1.5人に対し、1人のスタッフがいる勘定になっています。
人数が多くいるからこそ出来ることがたくさんあるのは確かで、その点のアベレージは高いまま保っていきたいと考えています。

最後に地域の皆様へメッセージをお願い致します。

現在、青葉区内には26の特定施設がございまして、私はそのまとめ役を仰せつかっています。老人ホームについての様々な不安があることは事実で、その1つ1つについて不安を解消する機会を設けながら、なおかつ、当施設だけではなく、青葉区全体の施設のボトムアップに努めていきたいと考えています。
長年住み慣れた家が一番良いのは間違いのないことです。私にしても、おそらくその時を迎えればそうだと思います。確かに自宅が良いに決まってる。でも、かといって、1人で頑張り過ぎちゃうと、逆に精神的にまいってしまうことがあると思うんです。
今の老人ホームには、家では絶対に実現出来ないことが多数存在します。『ぴあはーと藤が丘』の場合、それに加えて駅から近いという利便性がありますから、自分はもちろん、ご家族も一緒に楽しさを共有することが可能です。老人ホームを特別なものとして考えるのではなく、もう1つの自分の部屋のようなものと捉えてご利用いただければと思います。まだまだこれから先、楽しめる場所があるということをこの機会に知っていただきたいですね。

※上記記事は2012.12に取材したものです。
情報時間の経過による変化などがございます事をご了承ください。

ぴあはーと藤が丘 岡崎 公一郎 代表

ぴあはーと藤が丘岡崎 公一郎 代表 KOUICHIRO OKAZAKI

ぴあはーと藤が丘 岡崎 公一郎 代表 KOUICHIRO OKAZAKI

  • 出身地: 福岡県
  • 趣味・特技: カンツォーネ、楽器演奏、資格取得
  • 好きな本・愛読書: 歴史小説、エッセイ
  • 好きな映画: 感動もの「三丁目の夕日」など
  • 好きな言葉・座右の銘: 人間万事塞翁が馬
  • 好きな音楽: クラシック
  • 好きな場所・観光地: 温泉地

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