池田 祐輔 院長(あざみ野皮膚科)のインタビュー

あざみ野皮膚科 池田 祐輔 院長

あざみ野皮膚科 池田 祐輔 院長 YUSUKE IKEDA

大学卒業後、皮膚科を専門に研鑽を積む。大学病院を中心に診療を続け、「あざみ野駅」そばに開業。

この道を志したきっかけや現在に至るまでの経緯をお聞かせください。

父が開業医をしておりました。病院も自宅も同じ敷地内にありましたから、毎日父の仕事を見ているうちにごく自然な流れで医師を志すようになっていました。人の助けになれる職業につきたかったんだと思います。数ある科の中で皮膚科を専門としたのには、やはり目で見て診断が出来るという部分が大きいと思います。それは他の科と大きく異なるところで、ある種、職人的な部分がある科です。他科の医師からすると目で見ているだけで、あまり苦労せず一瞬で診断しているように思われがちですが、実際にその短い時間で観察、分析、検索、診断を行っています。
『あざみ野皮膚科』は2001年に開院致しました。私は昭和大学の皮膚科に長く勤めていましたので、連携がとりやすいという点がこの地でクリニックを開く大きな拠り所となりました。
それに加え、この地域の方々の求める医療水準が非常に高いということも大きな理由の一つです。求めるものが高いということは、裏を返せば医者に対してのハードルが高いということになりすが、その分、やりがいにつながりますね。
皮膚科専門医としてエビデンス(根拠)のある治療に務め、この地域の医療に貢献していきたいと考えております。

診療の際に心掛けていることをお聞かせください。

患者さんに対して、出来るだけ親切丁寧な対応を心掛け、正しい診断、正しい治療をおこなうということです。あたりまえの事ですが実は難しいことでもあります。私も若かりし頃は症状だけを見てしまい、「なんでここまで放っておいたんですか?」などと、患者さんのお気持ちを充分に斟酌しないことも時にありました(苦笑)。皮膚科を訪れる患者さんには長期にわたり相当な苦労をされた方々が少なくありませんから、患者さんに寄り添い、お気持ちを汲み取る姿勢が大切です。
皮膚科の疾病は死に至るようなものは他科に比べると少ないです。ただ、疾患によっては毎日普通の生活を送ることが困難なこともあります。これが糖尿病や心臓病といった疾患であれば充分な注意を払う必要はあるものの、普段から痛いとかかゆくてたまらない症状は伴いません。
しかし、皮膚科の疾患の場合、例えばアトピーの方は毎日かゆいし、夜もろくに眠れない。見た目にしてもそうです。病気を抱えていることにより、仕事や学校にも影響するし、若い人なら恋愛にも何かしらの影響が出てくることもあります。
皮膚科医、特に開業医に求められるもの。それは患者さんの生活の質、 クオリティ・オブ・ライフ(QOL)を維持し、高めることではないでしょうか。患者さんの気持ちやお立場を尊重し、より良い人生を送っていただけるようお手伝いが出来ればと思っております。

ご専門であるアトピー性皮膚炎についてお聞かせください。

私は現在でも月に2回、当院と昭和大学を行き来してアトピー外来をおこなっております。アトピー性皮膚炎は一般的に子供に多い病気ですが、成人になってから発症や再発する方も少なくありません。現代社会特有のストレスなど外的要因により発症してしまう方が多いようです。

アトピー性皮膚炎の治療には皮膚のバリア機能を整える保湿剤やスキンケア、ステロイド、免疫抑制剤の外用、抗アレルギー薬の内服を用います。患者さんの症状によっては、それらに加えて漢方薬を処方しています。
アトピー性皮膚炎に限らず慢性的な病気に対して、西洋医学のアプローチだけでは上手くコントロールが出来ないケースが時々存在します。そうしたケースでは漢方薬が有効な治療法となりえるのです。
まだまだ一般に皮膚科で使われることは少ないのが現状ですが、治りにくい病気に対して漢方というアプローチを行うのは当院の特徴と言えるかもしれません。
アトピー性皮膚炎は手を尽くしていけば完治しうる病です。特に子供のアトピーに関してはその殆どが快方に向かいます。長く苦しまれている方もどうか諦めず、根気よく治療を続けていただければと思います。

スキンケアの相談は受け付けていらっしゃいますか?

アトピーの方の肌のケアはどうしたら良いのか。ニキビのひどい方はどうしたら良いのか。そうした観点でエビデンスに基づいたスキンケアのアドバイスをおこなっています。『アトピービジネス』という言葉をご存知でしょうか?
『アトピービジネス』とは文字通りアトピー性皮膚炎の患者さんを対象に悪徳ビジネスをすることです。彼らは患者さんのご苦労を逆手に取り、同情する態にみせながら巧みにアトピーグッズや薬を売りつけていきます。
この『アトピービジネス』に似たケースが美容の分野にも存在します。医学的根拠のない、治療や薬品がはびこり、結果、深刻な被害を受ける方々が少なくありません。
このような状況に陥った要因の一つにまともな皮膚科医が美容という分野に関して積極的でなかったことがあげられます。遅ればせながらですが、日本皮膚科学会でもここ数年、美容の分野にも力を入れていこうという機運が高まりつつあり、これが良い方向へシフトするキッカケとなればと考えております。
皮膚科医は基本的に病気を診るものでありますが、先ほど申しましたQOLを考えれば、脱毛やシミやシワの悩みも出来る限り力になっていくべきと考えます。
当院ではお求めに応じ、エビデンスに基づいた治療やアドバイスをおこなってまいります。

最後に地域の皆様へメッセージをお願い致します。

皮膚のことであれば、どうぞお気軽に何なりとご相談ください・・・と言いますのも、皮膚の疾患に関して、余計な回り道を強いられ、結果として損をこうむる方が少なくないという実情があるのです。私の親は田舎で開業医をしていましたが、専門に限らず、それこそ往診に向かって臨終をみとるというようなこともやっておりました。それは時代と地域の事情を考えれば仕方のないことです。
しかし、その逆は駄目です。この地域で考えれば、皮膚科に限らず、耳鼻科、眼科、内科で言えば循環器や呼吸器等など専門に修練を積んだ先生方が多くいらっしゃいます。他に選択肢がないのであればともかく、環境が整っているこの地域であれば、患者さんは最初から専門医によるベストな治療を受ける権利があると思います。
私の考えは一般的ではないのかもしれません。いまの時代、ジェネラルに何でも診ることの出来る医者が求められる風潮があります。しかし、ジェネラルであるところの医師が皮膚科の疾患を適切に対処しえるかどうか、私は疑問です。水虫ひとつ例にとっても掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)や汗疱状湿疹の可能性もありますし、水虫に別の疾病が重なっていることもあります。皮膚科の専門的な修練を積んでいない医師に果たしてその全てを鑑別することが可能なのでしょうか?
正しい診断なくして正しい治療がおこなえないことは言うまでもありません。
どうぞ皮膚のことであれば、迷わず皮膚科にご相談ください。皮膚のスペシャリストとしてこの地域の皆様のお役に立っていければと考えております。

※上記記事は2011.10に取材したものです。
情報時間の経過による変化などがございます事をご了承ください。

あざみ野皮膚科 池田 祐輔 院長

あざみ野皮膚科池田 祐輔 院長 YUSUKE IKEDA

あざみ野皮膚科 池田 祐輔 院長 YUSUKE IKEDA

  • 出身地: 滋賀県
  • 趣味: サッカー観戦(日本代表)
  • 好きな本・愛読書: 歴史書(最近読んで面白かったのは「のぼうの城」)
  • 好きな言葉・座右の銘: おれは、単純であろうとしている(「坂の上の雲」の秋山好古の言葉)
  • 好きな場所: 自然豊かな場所、日本の田舎

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