木村 崇 院長(市が尾ペインクリニック内科)のインタビュー

市が尾ペインクリニック内科 木村 崇 院長

市が尾ペインクリニック内科 木村 崇 院長 TAKASHI KIMURA

大学卒業後、麻酔科を専門に研鑽を積む。豊富な知識や経験を地域医療に役立てるため、横浜市青葉区に開業。

医学を志したきっかけと、現在に至るまでの経緯をお聞かせください。

高校生くらいのころから、勤め人としてではなく専門職として働きたいという気持ちは、漠然とですがありました。誰かにコントロールされるのではなく、比較的自分の意思で物事を決められる割合が大きい仕事に就きたかったのです。医学を志したのは高校1年生のころからです。 大学でのカリキュラムを終えてからは、麻酔科に進みました。自分が今何らかの措置を施さないと患者さんの生命に関わるような、緊急性の高い医療がやりたいと思ったためです。当時はERなど専門の科が整備されていなかったので、救命・集中治療をやりたくても麻酔科を選びました。

「痛み治療」の内容について教えてください。特に「痛み物質」とは何でしょうか。

「痛み」のメカニズムにはいろいろあり、まだまだ解明されていない要素はたくさんあります。外傷によって神経が傷ついたり切れてしまうことによるもの、癌などの病変によるもの、そして「痛み物質」によるものなどのほかにもさまざまなケースがあり、まず当医院では、包括的な問診・検査の後にケースごとの治療を施しています。他医院と異なる点は、「痛み」を主眼としたアプローチから診断することで、原因となる病変と「痛み」の両方を治療していきます。「痛み物質」が成されるメカニズムですが、まず患部の血流が悪くなると、そこに酸素が供給されなくなります。こうすることがきっかけで代謝が阻害されたとき、細胞から痛み物質が排出されます。血流を良くすることが「痛み物質」を抑制することであるため、当医院ではレーザーで血流を促す治療も行っています。レーザー光線といえば、多くの方は患部を焼き切るために使用する場合を想定されますが、こちらでは患部をやさしく温めるのに使用しています。時間にして10分程度ですが、患者さんはほとんど何も感じません。血流が良くなると、じんわり温まってきた感じがします。この治療により、「痛み物質」は出にくくなります。
「痛み治療」のひとつに神経ブロック注射を使う場合もありますが、血液が固まりにくくなる薬を飲んでいる患者さんにはこういった治療が施せないため、レーザー治療が有効です。「痛み治療」にはほかに、漢方薬を含む内服薬、ポトックス注射、関節内注射を使ったものなどがあり、患者さんの症状や痛みに応じて変えています。

「痛み」の自覚症状はあるのに、他医院で原因が特定できないときの治療について教えてください。

原因が特定できない「痛み」がある場合は、来訪された科の選択が難しかったケースが想定できます。各専門の医療分野で検査などをやっていくと、かえって原因を特定しにくい場合があるのです。たとえば、整形外科や神経内科に行っても原因がわからず、最終的に「痛みは気のせい」という理由で精神科の受診を勧められるケースです。各科では、それそれ診断のための固有のプログラムがあり、これに引っかかってこない病変は見過ごされてしまいます。こちらでは「痛み」にスポットライトを当てて、包括的な診断を行うことで解明していきます。どの科に受診されてもわからなかった場合は、これまでの検査データをお持ちいただければ、改めて検査をせずにある程度病変は推定できます。気楽にご相談いただきたいと思います。

『ペインクリニック』は最近よく見かけるようになりましたが、学会自体の歴史は長いですね。

1962年に東大病院で『ペインクリニック科外来』が新設され、これを契機に『ペインクリニック』の開設が各地で始まったため歴史は古い(*)のです。私見ですが、普及に時間がかかったのはこれまで社会的ニーズが小さかったことが理由ではないかと思います。それぞれの専門科で事足りていたこと、そして病気やケガがあったり、手術をすれば痛いのは当たり前だという風潮が20世紀はありました。「痛み」は我慢するものであり、受診している医師に訴えづらかったという背景があったのです。*麻酔科医を中心に「痛み治療」を専門とする臨床が始まったのは、1960年代でした。
しかしながら社会が成熟してくると、情報が多くなり、医療の領域はどんどん細分化され、患者さんの選択肢も増えてきています。そして現在では、「医療はサービス業である」という認識も広まってきています。ですので、患者さんが「痛み」を相談される受け皿として、『ペインクリニック』の存在が大きくなってきたのだと思います。

最後に、診察での心がけ、日々のリフレッシュ方法、皆様にメッセージをお願いします。

診察で一番心がけていることは、患者さんのお話をよくお聞きすることです。「痛み」には病変だけではなく、心理的要因などさまざまな要素が絡み合っているためです。「痛み」が続くことで、患者さんは「ゆううつ」な状態にもなります。わたしは世間話をしながら、患者さんの日ごろのお悩みをお聞きするインタビューを行っています。どこに診断のヒントが隠れているかわからないのです。
リフレッシュできるのは、趣味のテニスです。週末はスクールで本格的にレッスンを受けていますが、スケジュール的に可能であれば、スクール主催の大会にも出場して腕試しをします。

肩こり、腰痛、関節痛、頭痛など、日々感じていらっしゃる「痛み」について、気楽に相談していただきたいと思います。当医院にはご高齢の方が多いのですが、働き盛りの患者さんも数多く通っていらっしゃいます。

※上記記事は2013.7に取材したものです。
情報時間の経過による変化などがございます事をご了承ください。

市が尾ペインクリニック内科 木村 崇 院長

市が尾ペインクリニック内科木村 崇 院長 TAKASHI KIMURA

市が尾ペインクリニック内科 木村 崇 院長 TAKASHI KIMURA

  • 出身地: 神奈川県
  • 趣味・特技: テニス
  • 好きな本・愛読書: ビジネス書(特に政治経済を取り扱ったもので、ルポルタージュなども読みます。)
  • 好きな映画: ハリウッドのアクション系
  • 好きな音楽: 90年代のR&B
  • 好きな場所・観光地: 海

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