酒向 毅 院長(さこう歯科医院)のインタビュー

さこう歯科医院 酒向 毅 院長

さこう歯科医院 酒向 毅 院長 TSUYOSHI SAKOU

歯科医を志したきっかけと、開業までの経緯について教えてください。

最初のきっかけは、祖父の勧めだったかもしれません。何しろ小学生のときからですので、当時はそれほど意識していませんでした。高校は総合大学の付属校で受験をせずに進学できたのですが、学部を選ぶ際に祖父がしきりに歯科医を職業に勧めていたことを思い出すようになりました。
しかしよくよく考えてみますと、美容師だった母の影響も大きかったのかもしれません。サラリーマンだった父は文系で経理畑の人でしたから、「将来公認会計士を目指したらどうか?」と言っていたのですが、まったくピンときませんでした。勤め人の場合、外で働く父の姿はなかなか見る機会がありませんよね。むしろ母の職業である美容師の方が身近でわかりやすかったのです。学校の授業が終わると、一目散に母の美容室に行き、おやつを食べながら母の働きぶりを見ていました。ぼんやりとですが、人のお世話をさせていただく仕事の方を選びたかったのだと思います。

卒業後は、早く一人前になりたくて臨床を選びました。最初に勤務したのは新宿三井ビルにある保険外治療の医院です。期間は1年間とたいへん短かったのですが、そちらでは保険外の高度な医療サービスと、地位の高いお客様への対応を学ばせていただきました。大学を出たばかりですと、むしろクリニック内でのマナーや治療の段取りなどをたたき込んでいただく方がありがたいと感じました。そちらでの職を辞した後は、妙蓮寺の歯科医院に勤務し、保険内の一般治療についても学びました。そのクリニックの分院が千葉にあったため、3年間は横浜と千葉を往復する毎日で大変でしたが、修業期間を一通り終えてからは院長として雇用され、開業に必要なことを身に着けることができました。特に義歯・補綴(ほてつ)の分野ではさまざまな技術を学びましたので、現在は多様化する患者さんのご要望にもお応えすることができて助かっています。開業は平成10年で、かれこれ15年の月日が経ちました。

診療方針について教えてください。

やはり十分に時間をかけて患者さんからお話を伺うことですね。診療時間を夜の9:00までにしていますが、こうしておりますのは実は患者さんのご都合というより、わたしの事情なのです。1時間に2名くらいのペースですと、お話と治療に十分な時間をかけることができ、予約時間通りにいらしている患者さんをお待たせすることもありません。
またわたしはこれまでの経験から、義歯や詰め物についてさまざまなノウハウを学びました。幸いご高齢でご自身の歯を残される方が多くなりましたので、ご自身の歯を活かせる義歯を入れさせていただいています。自分の歯を使って生活されている方は、確実に寿命が伸びることがわかっています。これはマウスの実験でも実証されていることです。

気になる病気に「歯周病」を上げていらっしゃいますが、セルフチェックはできますか。

まずは出血や口臭の有無がひとつの指標になりますが、歯周病はある程度進行してから自覚症状が出る怖い病気なのです。出血するということは、歯が歯茎から剥離して「歯周ポケット」ができている状態です。ですので、悪化する前に日頃歯科医院でチェックしていただくことが肝要です。
わたしは保育園で歯の定期健診を担当していて、100人以上のお子さんを診察させていただいています。その際、かかりつけ医を見つけて定期的に診ていただくことが習慣になるように指導しています。歯医者の役割には正しい歯ブラシの使い方を指導することもありますが、患者さんがこれに沿ってきちんと磨くのは指導週間の前後で、これを過ぎると自己流に戻ってしまいます。歯周病は歯石や歯垢をきちんと除去していれば予防できる病気ですので、やはり定期的なチェックは必要です。できれば、幼少期から習慣づけていただきたいと思います。

実は自治体で、人間ドック同様歯の健診を勧めているところがあります。しかし残念ながら、受診率が低いのが現状です。せっかく行政が必要性を感じて予算をつけていることですので、どうか受診していただきたいと思います。受診率が低いままですと、はがきなどでの告知費用が削られてますます健診が見落とされる懸念もあります。「歯周病健診」は、満40歳など節目になる年齢の方に通知が出されますので、ひとつ留意してお待ちください。

最近は「予防治療」が叫ばれるようになったのですが、実は受診率はそれほど高くありません。40歳を過ぎてから歯周病に気づくことがあるのですが、重症化しているケースも少なくありません。「もっと早くから歯石を取っていれば手が打てたのに….」と残念に思うことがしばしばです。

お口の健康について、先生のお考えをお聞かせください。

意識されている方は少ないのですが、口は消化器官の「入り口」です。食物を噛み砕いて咀嚼することで、胃腸など内臓への負担は少なくなります。よく噛むことで唾液の分泌が促され、唾液と食物をよく混せて体内に取り込むことでアレルギー症状が起きにくくなるいう説もあるのです。
先ほどもお話ししましたが、「歯周ポケット」があるということは歯茎の内部が潰瘍になっている状態です。これは内臓がそのままばい菌にさらされているのと同じ位危険な状態なのです。

また最近は審美的な要素も重視されるようになってきました。歯並びが悪いと口を開けて笑うことができなくなり、人前に出るのも億劫になってきます。人に会う機会の多い方や歯並びが気になる方のご相談にも乗っていますので、どうかお気軽にお越しください。

診察で心がけていることと、地域のみなさまへのメッセージをお願いします。

心がけておりますことは、患者さんが緊張せずにリラックスして受診していただけるようにすることです。特にお子さんには怖がらせないような治療を心がけ、ときには冗談を言いながら診させていただいています。また、時間を守りお待たせしないことも大切です。
青葉区は平均寿命が日本一になった時期がありました。現在は残念ながらほかのところにその地位を明け渡しています。平均寿命を延ばすには、歯の健康は欠かせません。わたしは、歯の健康を守ることで全身が健康でいられると信じています。再び青葉区が日本一になれるよう、患者さんの健康に貢献していく所存です。これからも末永くお付き合いいただけたらと思います。

※上記記事は2014.8に取材したものです。
情報時間の経過による変化などがございます事をご了承ください。

さこう歯科医院 酒向 毅 院長

さこう歯科医院酒向 毅 院長 TSUYOSHI SAKOU

さこう歯科医院 酒向 毅 院長 TSUYOSHI SAKOU

  • 好きな本・愛読書: 小説ですが、ジャンルにこだわりはありません。以前よく読んでいたのは、花村萬月、小池真理子の作品。最近は黒川博行、石田衣良、白川道の作品にもハマっています。
  • 好きな映画: 「ゴッド・ファーザー」(1972年、米パラマウント)、「パルプ・フィクション」(1994年、米ミラノ・マックス)、ならびに伊丹十三作品
  • 好きなアーティスト: クイーン、エアサプライ、マイケル・ジャクソン、オフコース
  • 好きな場所・観光地: 観光地なら京都。あとは職場であるこのクリニックです。
  • 出身地: 神奈川県
  • 趣味: 読書と車。自動車そのもの、ドライブのいずれも好きです。

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